2024年
第29回入賞作品
10代の約束賞
言霊 國木 咲良(13歳 中学生)
ついつい自分を卑下してしまう人があなたの周りにはいますか。私はその一人です。
小学校六年生の一学期、私のクラスに一人の転入生の女の子が来ました。明るく、おもしろいその子は、すぐに人気者になり、おとなしかった私は、ただ見ていることしかできませんでした。ある日の課外授業、私はその子と一緒の班になり、地域の人に地元の祭りについてインタビューを行いました。あい間に、その子に話しかけられ、すぐに仲良くなりました。課外授業の後もその子と話す機会が増え、自分のことについて話すことも増えました。
私は自分に自信がありません。だから、自信をもっている人が格好よく見えます。そして、いつだって自分の敵は自分です。ある時、そのことを、彼女に打ち明けました。すると彼女は、「私もあなたがいつもうらやましい」と予想もしていなかったことを言われました。彼女は性格も良く、勉強も運動もできる私の理想の存在だったからです。人間というのは不思議なもので、自分自身の魅力を、自分が一番分からないものなのだと思いました。
時は過ぎ、小学校最後の日、卒業式。私は中学受験に受かり、彼女とも親友になり、すがすがしい気持ちでその日を迎えました。式も終わり、同級生で写真を撮っていた時、たまたま彼女と二人きりになり、少し話をしました。短くてあっという間だった六年生の一年間の感謝を言い、ある約束をしました。
「自分の思ったことをはっきりと言って、ポジティブに強く生きよう。」
他の人から見れば、抽象的で小さな約束かもしれません。しかし、私達にとっては、「ポジティブ」に「強く」ということは、とても重要で達成したい目標だったのです。
言霊という言葉があります。声に出すことで、それを実現できるという考え方です。私は、彼女と約束をすることで、その夢を実現することが可能になっているのかと思います。
現在、私は卒業式の時に交わした約束を守れるように、少しずつ努力しています。例えば、小テストで悪い点数をとってしまった時。やはり悲しいのですが、「テスト本番で間違えなくてよかった」という思考に変わりました。前までは、「どうせ」という言葉が、私の頭の中にはいつもありました。しかし、最近では、「ラッキー」という言葉が、いつも私の頭の中にはあります。約束をしたことで私にとって大きな一歩を踏み出すことができました。また、私は人に何か悪いことを言われるのが苦手で、発言をすることを極度に怖がっていました。しかし、ポジティブに、なるべく考えることを約束した現在、人の意見をアドバイスだと思うことができるようになりました。
性格は、自分の置かれている環境、ある出来事によって、簡単に変わってしまうものだと私は考えます。変わってよかった、という人もいれば逆の人もいます。私は自分の性格のマイナスな面も、プラスな面も、すべて大切にしながら、楽しく生きていきたいです。彼女との約束が、私の性格を明るくしてくれたように、他の人の人生を少しでも私の力で華やかなものにしていきたいです。私にとって約束とは、自分自身を変えるチャンスのようなものです。